山と海に囲まれた地で、耕さない自然農を実現。周防大島でかなえた理想の百姓ライフ|野の畑 みやた農園 | ここいろ|山口、暮らしの自由帳。
「ああ、ここにモグラの穴がありますね。ミミズがたくさんいるのでしょう。つまりここの土は、ミミズの餌となる未分解の有機物が少し多くなっているのかもしれません」
畑の表面を指先で軽く掘りながら、男性は一言ずつ噛みしめるように、ゆっくりと語り始めました。
「作業は、できる限り素手で行っています。土に直接触れると、湿り気や固さといった畑の状態が感じられるので。指先の感覚を通して受け取る情報を大切にしています」
男性の名は、宮田正樹さん。山口県周防大島町で妻の喜美子さんとともに、畑を耕さず(不耕起)、農薬や化学肥料も一切使わずに、ほぼ自然の力だけで野菜を育てています。
宮田正樹さん
「肥料などで太らせるのではなく、植物本来の生命力を引き出しています。お客さんからは『ごりごりしていない。なめらか』といった感想をよくいただきますね」
その美味しさと質の高さは人から人へと伝わり、近隣だけでなく、東京や大阪など大都市部に暮らす約50世帯にも「島の定期便」として届けられています。
季節の野菜が詰まった「島の定期便」。宅配には、ミカンなど島の特産品も添えて発送している(宮田さん提供)
探し続けた再出発の地
橋を渡った瞬間に「ここしかない」
宮田さんは山陽小野田市出身。鹿児島大学農学部を卒業後、青年海外協力隊としてアフリカのセネガルで稲作指導に従事。帰国後は宇部市で鶏の平飼いと有機農法を10
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